ダボス会議2022に参加して

Personal

2022年5月22日から26日まで開催された
世界経済フォーラムのダボス会議2022に参加させて頂きました。

ダボス会議とは約2500人もの世界各国の政財界のリーダーが集まり、
あらゆるグローバルな課題について話し合う場です。
毎年1月に開催されるのですが、ここ最近はコロナ禍を理由に開催が見送りや延期になり、
今回は2年4ヶ月ぶりの開催でした。

今回、ダボス会議の世界の若者50名に選出されて参加させて頂いたのですが、
同世代の多種多様なメンバーが揃っていて、色んな価値観や経験に触れられて、
とても刺激を受けました。
特にウクライナから参加したメンバーの過酷なお話を聞いた際には胸が痛くなりました。
テレビやネットで見る以上に、目の前にいるメンバーの実体験を聞いていると、
如何に今のロシア-ウクライナ情勢が不条理で、不誠実かが分かります。

世界各国のメディアでダボス会議の話題が大きく取り上げられていた中、
日本ではほとんどクアッドの話題で留まっていて、
ダボス会議についてはほんの少しだけしか取り上げられていなかったと伺い、
呆れている部分も含め、何だか日本らしいな、と思っていました。
日本のメディア、変わるべし。(既変化に対応しているメディアもありますが。)

本来であれば、毎年1月に開催されるダボス会議ですが、コロナの影響で5月に延期され、
初めての春のダボスということで、ダボス会議の常連参加者の方々は、
「雪の積もっていないダボスは初めてだ」と皆さん口を揃えておっしゃっていました。
後、1月から5月に延期されたことにより、普段より首脳級の方々は少なかったみたいです。

それでも、かなりの数のセッションが開催されておりました。

会議のアジェンダ

その中でも私が参加させて頂いたセッションは下記の通りです。
私は、経済教育デジタル、の三つのテーマを軸にセッションを選びました。
本業は経済、プロボノ活動は教育、Web3やメタバースといった今後のテクノロジーがどうなるのかが気になるといった点でデジタル、ということで選びました。

5月21日
16:00 – 18:00 Global Shapers Orientation: Driving Dialogue, Action and Change
19:00 – 22:00 Global Shapers Dinner: Building Connections for Impact

5月22日
09:00 – 10:00 Forum Foundations Interactive Dialogue with Klaus Schwab
10:00 – 12:30 Global Shapers Impact Workshop: Scaling Local Solutions
18:00 – 20:00 Welcome Reception

5月23日
08:15 – 09:15 Accelerating the Reskilling Revolution
10:00 – 10:45 A Generation of Progress Lost: Achieving Gender Equality
10:45 – 11:15 Welcoming Remarks and Special Address
11:15 – 11:45 Special Address by Volodymyr Zelenskyy, President of Ukraine
11:45 – 12:15 Spirit of Resilience: Ukrainian Voices
14:15 – 15:00 Building Economies in Fragile Markets
16:15 – 16:45 Remittances for Recovery: A New Era of Digital Money 
17:30 – 18:15 United States Economic Outlook
20:00 – 22:00 2032: The Economy of the Next Decade

5月24日
08:45 – 09:30 A Reimagined Global Tax System
10:00 – 11:00 Strategic Outlook on the Digital Economy
11:00 – 11:30 Special Address by Ursula von der Leyen, President of the European Commission
11:30 – 12:00 Special Address by Jens Stoltenberg, Secretary-General, North Atlantic Treaty Organization
12:00-12:45 Meet the Leader with Leif Johansson and Seth Berkley
13:25 – 13:55 VR Signup Slot 031
14:45 – 15:15 A Conversation with Susan Wojcicki, CEO of YouTube
15:30 – 16:00 A Conversation with Satya Nadella, CEO of Microsoft
17:30 – 18:30 Preparing for the Next Pandemic
20:00 – 22:00 Europe’s Global Role

5月25日
08:00 – 08:45 Meet the Leader with Ngozi Okonjo-Iweala
09:00 – 09:45 Strategic Outlook on Japan
12:30 – 13:00 Meet the Leader with Roberta Metsola
14:00 – 14:30 Conversation with Albert Bourla, CEO of Pfizer
16:00 – 16:45 Art and Science: Scouts for a Better Future 
17:30 – 18:15 Turning up the Heat on Greenwashing
18:30 – 1-on-1 Meeting

5月26日
09:00 – 09:45 The Biggest Trade Deal in the World
09:30 – 11:00 Global Shapers Debrief: Capturing Our Impact
13:00 – 15:00 Farewell Lunch at the Schatzalp

このように、全ての参加したセッションを並べてみると、
如何にスケジュールがぎゅうぎゅうに詰め込まれていたかが可視化されますね。
あっスケジュールをここまで詰め込んだのは私ですが笑
あまりにも参加したいセッションが多すぎました。

最後のランチ会場で撮ってもらった写真が日本版?のアルプスの少女ハイジみたいでした笑

日本のセッションについて

今回のダボス会議で一番印象的だったのは
「Strategic Outlook on Japan」という日本に関するセッション。
このセッションが唯一「日本」が主語のセッションでした。
慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵教授や
大和証券グループ本社 取締役 執行役副社長の田代桂子氏が登壇されておりました。

ダボス会議初日から感じていたのが「日本の存在感の薄さ」。
コートジボワールの首相が仰っていたように、国のトップはその国一の広告塔である。
今回はバイデン大統領来日と被ってしまったため、
どうしても岸田総理大臣がダボス会議に来ることは叶いませんでした。

となると、日本の存在感をこの会議で出すためには私に何が出来るのか、と考え抜いた結果。

出席するセッションで有意義な質問をする

ということでした。
その会場、そのセッションに生で、対面で出席しているからこそ貰える特権が、
質疑応答でパネリストの方々に質問をすること。 もちろん簡単なことではありませんでした。

その分野のプロであるパネリストの方々、そして何十人、何百人もの観客がいる会場、
オンラインでも視聴している方々がいる中、 質問をするということは、
数十秒間、その視線が全て集中するということになります。
しかも、全て録画されているので、下手なことを言えない状況。

世界の若者50名に選出されたからには、日本の底力を見せたいと思ったので、
このセッションでは
「本来の日本の活気を取り戻すためには、
今の若者はどうすれば良いか?
そしてその若者を支援するために上の世代はどのようにサポートすれば良いか?」

という質問をさせて頂きました。

今後の日本に関するセッションだったのに、
「少子高齢化」という単語に一度触れただけで、
日本の若い世代が議題に上がらなかったことに対して疑問に思ったのと、
Z世代である私だからこそパネリストの方々に伺える質問をしたかったので、
このような質問をさせて頂きました。

その様子はこちらです↓

総括すると、上の世代は変化を怖がらない、そして我々の世代は投票に行こう、とのことでした。

数々の著名なゲスト

ディナーではECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁や
ノーベル経済学賞を受賞されたジョセフ・スティグリッツ教授とご一緒させて頂き、
特別コンサートでは世界的チェロリストのヨーヨー・マ氏にお会いすることも出来ました。
アル・ゴア元米国副大統領、マイクロソフトの共同創業者のビル・ゲイツ氏、
マイクロソフトCEO兼会長のサティア・ナデラ氏、スペインのペドロ・サンチェス首相など、
普段お目にかかることが出来ないような方々と同じ空間を共にすることで、
学んだことが多々ありました。

ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁と
“Girls’ Power”と女性活躍を応援して下さっているところが心に残りました。
凛々しいスピーチの仕方がとても素敵でした。
何年掛かるかわかりませんが、ラガルド総裁みたいに社会的インパクトを残せる素敵な女性になれる様に頑張ります!

ジョセフ・スティグリッツ教授と
米国のインフレは供給の問題なので、需要に影響を与える利上げだけでは問題の根底は解決出来ない、とおっしゃっていました。
「The Great Divide」を読んで以来、お会いしたかった経済学者の一人でした。

世界的チェロリストのヨーヨー・マ氏と
数年前にZoomでお話しさせて頂いたことがあったのですが、
生での演奏を聴かせて頂くのは今回が初めてでした。
まるでチェロが唄っているような音楽の奏で方でした。
いつもセッションが開催される場が一気にコンサートホールの雰囲気を醸し出していました。

尚、今年度の会議の注目ポイントは下記の動画にまとめられております。
会議に出席していた重要な方々の発言などが分かりやすく下記の公式動画に凝縮されています。

Davos 2022 | History at a Turning Point

世界各国から選出された若者50名

本会議はニュース等でも報道されていた通り22日からだったのですが、
我々若者50名(今回はウクライナ人の何名かが数人追加されたので的確には55名)は
他の参加者より一日早く会場入りをしました。
なぜなら、実際のダボス会議が始まると沢山のセッションがあるので中々お互い会えないのと、
ダボス会議でしかお会いできない方々となるべくお話をするために、
先に世界各国の若者が仲良くなっておくために用意された一日でした。

後、もう一つ大きな理由があります。

ダボス会議本番中に、心の拠り所がある、ということを認識するためです。

普段テレビや新聞で見ている方々のお話を生で聞いたり、質問したり、1-on-1でお話ししていると
とても刺激になる一方で、それが続くとあまりにも圧倒されすぎてしんどくなる時が
誰にしも少しはあるかと思います。
その時に、自分と同じ年代の仲間がいることで、スッと楽になります。
経験者は語る!じゃないですけれど、これが結構重要だったりします。

ちなみに、私を含む、若者の皆はダボスの隣町であるKlostersのホテルに滞在していたので、
毎朝シャトルバスで30-40分掛けて、会場まで向かっておりました。
なので、基本的に朝は6時起床、夜は1時就寝、といった多忙な毎日でした。

今後を見据えて

ダボス会議を終えて感じたことは、
日本のセッションで一パネリストとして話したかったです。
もちろん、実際に登壇されたパネリストの方々の知識や経験の足元にも及びませんが、
日本の若い世代の声があの場で更に反映出来ていたら、
世界の目から日本は違う風に映っていたのではないでしょうか。

日本が直面している「少子高齢化」から目を背けるべきではありませんし、
何ならその現実とどのように向き合っていくかを考えなければいけません。
ダボス会議という既に世界の注目を浴びているあの場で、
若い世代の声をもっと遠くに届けたいなと思ったところでした。

是非、5年後、10年後にまたダボス会議に参加したいです。
5年後、10年後に参加した際には今回とはまた違った経験が出来るのではないかと思います。

その他写真集

会場の外での写真

会場の中での写真

ホテルでの朝食からの眺め

ダボスに入るためのチェックポイント
セキュリティーはとにかく厳重でした。

ゼレンスキー大統領の演説

討論会形式の会場

アイスビレッジ(会場の一つ)
ここで提供されるプレッツェルが美味しかったです。

ダボスの街中で開催されていたブロックチェーンの催し
ダボス会議に伴って、ダボスの街中がダボス会議色に染まっていました。

夜な夜なまで語り合った仲間

ウクライナの仲間

スイス最終夜にチューリッヒで食べたポテトとソーセージ

追記

P.S. 真面目なことばかり上記で書いたので、最後はほぼどうでもいい飛行機の感想を。

今回人生一長い&辛いフライトを経験しました(羽田からフランクフルトまでの15時間)。
ロシア-ウクライナ情勢で飛行範囲が限られているため、本来であれば12時間のフライトが総飛行距離12,000kmの15時間フライトでした。行きは22:55羽田発の便だったのですが(実際に離陸したのは23:15頃)、気付いたら日本時間7:30までぐっすり寝ていて、簡易晩ご飯が巾着に入れられて席の前に吊られていました。ダボス会議用の資料を読んだり、また寝たりしていたら、いつの間にか経由地のフランクフルトに着いていました。一本くらい映画が観たかったです。辛かったフライトは帰国便。帰りは13時間だったのですが、寒気と発熱で、気が狂いそうでした。どこでもドアがあったらいいのに、と思った瞬間でした笑

P.P.S. ダボス会議参加者でも参加者によってバッジの色(アクセス権限)が違うということを初めて知りました。ダボス会議内でもそんな違いがあるのかと。

初日のオリエンテーションで「あなたたちは一番どこにでも入れるホワイトバッジを持っているから、この貴重な機会を活用しなさい。」と言われた時に、「バッジの色?」と疑問に思ったのですが、会場付近のホテルまでしか入れない緑色のバッジや報道陣のオレンジ色のバッジ、そして紫色のバッジなど、色んな種類のバッジがあることに期間中気がつきました。私はホワイトバッジの特権を生かして、招待制のディナーに滑り込んでいました笑

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